Vantage Fortian
導入事例
装置ダウンタイムを最小限に
地域医療への影響を最小限に抑えた装置更新
岩本 貴史 技師
阿蘇医療センター 医療技術部 放射線室長
Vantage Fortian
導入事例
岩本 貴史 技師
阿蘇医療センター 医療技術部 放射線室長
阿蘇医療センターは、阿蘇山の位置する熊本県阿蘇市に位置しており、阿蘇地域の基幹医療を担う中核病院として、
地域医療機関との連携や救急医療への対応などを通じて、日々地域医療へ貢献している。
同院では、2025年10月に、既存装置のマグネットを活用した更新プランであるリニューアルソリューションによって「Vantage Titan」から「Vantage Fortian」へと更新した。
今回は、リニューアルソリューションを活用した更新を選択された経緯と稼働後の運用状況実態についてお話を伺った。
当院では、2014年より稼働していた装置の老朽化が進み、画質や撮像スピード、操作性の面から更新の必要性を感じていました。しかし、地域の基幹病院として、容易に更新へ踏み切ることができない事情がありました。
最大の課題はダウンタイムでした。阿蘇地域において高磁場装置が稼働しているのは当院のみであり、装置を停止することは当院だけでなく地域医療全体に大きな影響を及ぼします。
通常の装置入れ替えでは 1 か月半以上の停止期間が必要となるため、その間に紹介患者の受け入れを停止することは、地域医療にとって大きなリスクとなります。
もう1つの課題は更新費用でした。更新の検討時期は新型コロナウイルス感染症5類に移行し、国の関連補助がなくなった影響により病院経営が厳しい状況にあり、
院長をはじめとした経営層とも協議を重ねましたが、なかなか決断に踏み切ることができませんでした。
そのような中でリニューアルソリューションの提案を受け、当院のような課題を抱える施設に適した更新プランであると感じました。
既存装置のマグネットを活用することで、マグネットの搬入出を伴わず、工事期間と費用を抑えることが可能となりました。
特に大きかったのは、工事期間短縮に伴うダウンタイムの短縮です。リニューアルソリューションでは、約3週間まで短縮でき、
地域医療への影響を最小限に抑えられることが、経営層を説得する大きな要因となりました。また、短期間で装置を再稼働できることから、
早期の収益回復・向上が期待できる点も、説得の大きな後押しとなりました。
さらに、通常更新と比較して費用を抑えながら、Precise IQ Engine(PIQE)、Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)、
RDC DWIなどを搭載したソフトウェア(Ver.10.0)を導入できる点も大きな魅力でした。単なる延命ではなく、実質的に最新世代へアップグレードできることに価値を感じました。
当院では、経営改善に向けて検査受け入れ数の拡大も考える必要があったため、検査時間の短縮と検査件数の増加が見込める点は、重要な判断材料となりました。
短期間で最新装置へ更新できるだけでなく、将来的な検査数の増加を見込めることが、経営層の理解を得る決め手となりました。
更新後、最も実感したのは、各部位の撮像時間の大幅な短縮と高精細の両立には驚かされました。そのおかげで画質を落とすことなく、検査全体の効率が向上しました。
特に指関節の画質向上は顕著です。更新前は撮像時間が長く、患者さんの体動によるアーチファクトが生じ、再撮像が必要になるケースも少なくありませんでした。
更新後は、Exsperと超解像DLR技術であるPIQEの併用により、各シーケンスが短時間で終了するため、動く前に撮像を完了できるようになりました。
そのため、体動の影響を大幅に抑制でき、安定した高画質画像を取得できています。整形外科医からも「以前はややボヤケた印象だったが、更新後は細部までシャープに描出されている。」と評価されています。
また、腹部撮像ではT2強調画像(T2WI)では、PIQEによってシングルショットFSEであるFASE2Dを高精細に撮像することが可能となったため、 更新後はスライス厚を薄くし、スライス枚数を増加したにもかかわらず、1回の息止めで問題なく撮像できています。 高齢患者さんの多い当院では、更新前は複数回の息止めが必要になることで画質不良が生じることも少なくありませんでした。 更新後は、息止め回数の減少により患者さんの負担が軽減されただけでなく、再撮像率の低減と検査の安定運用にもつながっています。 これらの改善は、当日検査や緊急検査への対応の柔軟性向上にもつながっています。
PIQEは短時間化のみならず、高精細撮像にも大きく寄与しています。これまで困難であったスライス厚1.5mm、ギャップレスの2D Thin Slice撮像が可能となり、 3DのようにMPR再構成を行っても十分に観察可能な画像が得られるようになりました。 前立腺癌や膀胱癌の深達度評価において、2D Thin Sliceを積極的に活用しており、2D特有の良好なコントラストを維持したまま、より多くの情報を診療科へ提供できるようにしています。 装置更新により、従来は画質面で難しかった撮像が可能になったと感じています。
DWIも、更新により大きく画質が向上した領域の1つです。頭部・腹部・前立腺など幅広い部位において、DWIの基礎画質が向上したと感じています(図5左)。
また、TEの細かな設定をはじめとして、従来よりもパラメータ自由度が向上し、画質をさらに追求できるようになりました。
さらに、歪み低減技術であるRDC DWIにより、これまで歪みに悩まされていたDirect COのDWIや前立腺DWIでも撮像時間を大きく延長することなく高精度なDWIを得られています。
質の高いDWIが撮像できていることは、装置を更新したことで得られた大きなメリットだと感じています。
操作性も大幅に改善されました。特に、再構成スピードの向上は印象的です。
更新前は画像表示までに時間を要していましたが、更新後はDLR技術を使用していても、撮像終了後すぐに画像が表示されるため、迅速な確認が可能となり、
次のシーケンスや検査へスムーズに移行できるようになりました。
ForeSee Viewは撮像範囲設定において非常に有用です。撮像済みの画像から目的とする断面を事前に確認できるため、位置決めの精度向上に役立っています。
当院では、頚部BB撮像や整形領域の基準ラインの設定、BPASの位置決めなど、日常診療の幅広い場面で活用しています。
また、3DやMPR等の後処理へ画像確認画面から直接移行できる点も効率的になり、使いやすいと感じている点です。
特にスティッチング処理は、ワンクリックで高精度に画像を繋ぎ合わせられるため、更新前と比べても大変簡便になりました。
旧装置ではワークステーションを使用していましたが、現在はワークステーションを使用せずコンソール上で完結しています。
操作性は旧装置から引き継がれている部分も多いため、更新後すぐに使いこなせることもCanonへ更新してよかったと思うポイントでした。
その中でも痒い所に手が届くような細かい修正も施されており、実際に装置を使用する中で改善を実感できる点も多いです。当院への見学も歓迎していますので、
実際の操作性を確認いただくとより進化を実感できると思います。
現在、多くの医療機関で経営環境は厳しく、装置更新を見送るケースも少なくないと聞いています。
リニューアルソリューションを活用することで、費用を抑えながら最新装置へ更新できることは大きな価値があります。
患者さんへ高精度の診断を提供できること、検査時間の短縮による患者さんの負担軽減、検査枠の拡大による病院経営への寄与を同時に実現できる、時代に適した更新プランだと感じています。
特にMRI装置を1台で運用しているご施設では、更新時のダウンタイムが懸念される点かと思います。
当院では、約3週間という短期間のダウンタイムで更新が完了しました。これは、診療への影響を最小限に抑えるためのCanonサービス担当者の迅速な対応によるものも大きいと考えています。
更新後もアプリケーション担当者・サービス担当者の手厚いサポートが継続しており、安心して検査を運用できています。
そのようなサポートに支えられながら、現在1日20件以上の検査対応を目標に体制を整えている最中です。
引き続きCanon MRIとともに、より質の高い医療を地域へ提供していきたいと考えています。
| 一般的名称 | 超電導磁石式全身用MR装置 |
|---|---|
| 販売名 | MR装置 Vantage Orian MRT-1550 |
| 認証番号 | 230ADBZX00021000 |
| 類型 | Vantage Fortian |
| 製造販売元 | キヤノン株式会社 |