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Vantage Gracian 
導入事例

Vantage Gracianが支える
『世界一寄り添うMRI検査』への歩み

林 祥史 医師 
けやき脳神経リハビリクリニック 院長
渡邊 潤 技師 けやき脳神経リハビリクリニック 放射線技師長兼副院長

けやき脳神経リハビリクリニック

けやき脳神経リハビリクリニックの内装写真

けやき脳神経リハビリクリニックは、2024年11月1日に東京都目黒の不動前駅近くに開院した医療施設です。 脳神経とリハビリに強みを持つ、地域のかかりつけ医として、脳卒中、頭痛、認知症などの診療から脳ドックまで幅広く対応しています。
同院では、AI技術を搭載したキヤノン社製1.5テスラMRI装置「Vantage Gracian」を開院と同時に導入し、地域における迅速な画像診断体制を構築しています。 今回は、装置導入の経緯や選定理由、稼働後の評価についてお話を伺いました。

Vantage Gracianを選んだ理由

■導入の決め手:1.5テスラへの「先入観」を覆す高画質と短時間検査

― 開業にあたり、MRI選定で重視したポイントは何ですか?

林院長:当院では、強みとして掲げている「即日検査・即日診断」を実現するために、MRIの選定には最も時間をかけました。 選定にあたっては、まず性能を最優先に考えていました。当時はヘリウムフリーのMRIも登場しており、比較・検討すべき項目が多く、何を重視すべきか判断に迷うこともありました。 その中、Vantage Gracianで撮像された画像を実際に見た際、1.5テスラでありながら、3テスラに迫る高画質な画像を短時間で得られていることに大変驚きました。 この装置であれば、当院が目指す「即日検査・即日診断」の実現に適していると感じ、導入を決めました。また、豊富なアップグレード実績があり、 長期間にわたって安心して運用できること、将来的に継続的な機能向上が期待できる点も、大きな決め手となりました。

導入後の評価

■短時間撮像が生むメリット①:スループット向上と心理的余裕

― 稼働開始から1年が経過し、現在の運用状況はいかがですか?

林院長:15分枠で、1日平均20件、多い日には30件の検査を実施できており、期待していた「即日検査・即日結果」を実現できていると感じています。 患者さんからも、その利便性についてご好評をいただいています。
渡邊技師長:15分の検査枠であっても、撮像時間が短いため、ルーチン検査では時間的な余裕があります。 この余裕があることで、少しでも気になる所見があれば、躊躇なく追加スキャンを実施でき、より質の高い検査につながっていると感じています。

■短時間撮像が生むメリット②:閉所恐怖症の方から小児まで

― 患者さんへの配慮として、どのような運用をされていますか?

林院長:当院の大きな特色として、閉所恐怖症の方に向けた「やすらぎ枠(30分枠)」を設けています。 通常検査よりも長めの検査枠を確保することで、ヘッドホンを通じた技師によるこまめな声掛けや、必要に応じて適宜休憩を挟むなどの工夫を行っています。 さらに、ヘッドコイルの前面カバーを外した状態で撮像し、開放感を考慮した環境で検査を実施することで(図1)、これまでMRI検査に不安を感じていた方にも受診していただきやすい体制を整えています。 また、小児(6歳以上)の頭部外傷に対しても、MRIは非常に有効です。被ばくの心配がないことをご説明すると、多くの親御さんが当院でのMRI検査を希望されます。
渡邊技師長:小児向けの約5分で終了する短時間プロトコルを活用することで、お子さんが動いてしまう前に検査を終えられるケースが多く、診療上の大きなメリットを感じています。 通常のルーチン検査であれば、入退室を含めても10分前後で完了することもあり、従来20〜30分程度のMRI検査を経験された患者さんからは、「今までで一番快適だった」と言っていただけることもあります。

前面コイルカバーを外した撮像例
図1 前面コイルカバーを外した撮像例

画質に対する評価

■AI技術と歪み補正がもたらす「読影のしやすさ」

― 具体的に印象的な画像はありますか?
RDC DWI適用例
図2 RDC DWI適用例

林院長:全体的に短時間で高画質な画像が得られていますが、特にDWI(拡散強調画像)の歪みの少なさが非常に印象的でした。 以前、技師長が歪み補正を外した状態で撮像したことがありましたが、普段見慣れているRDC DWIとの違いにすぐ気付き、歪み補正を有効にして撮像するよう依頼したことがありました。 空気の影響を受けやすい脳幹部や脳底部などにおいても、歪みの少ない安定した画像が得られるため、診断時の大きな安心感につながっています。(図2)
また、下垂体の画像も非常に高く評価しています。当院では下垂体腫瘍の術後フォローも行っていますが、3mmのスライス厚で撮像した矢状断や冠状断の画像は非常に鮮明で、 病変の状態を把握しやすいと感じています。1.5テスラでもここまで詳細に下垂体を描出できることは、日常診療において大きな利点だと感じています。

下垂体検査でのThin Slice例
図3 下垂体検査でのThin Slice例

渡邊技師長:技師の視点では、下垂体のような高精細な描出が求められる部位は、撮像時間が長くなりやすく、追加撮像をためらうこともある領域でした。 以前の環境では、T1WI矢状断の撮像に約3分を要していましたが、現在はAI技術を活用することで、約1分で高精細な画像を取得できるようになりました。 そのため、ルーチン検査で少しでも気になる所見があれば、躊躇なくThin Sliceを追加撮像できるようになり、診断精度の向上にもつながっていると感じています。(図3)

■クリニックに最適な「設置性」と「省スペース」

― 施設設計の面でのメリットはありましたか?

渡邊技師長:装置本体や機械室、さらに操作卓まで省スペース設計で、限られたスペースの中でも検査室周囲のレイアウトを組みやすく、 動線設計の自由度が高かったと感じています。その結果、開院当初に想定していた以上に操作室内のスペースを確保することができ、 実際の業務効率やスタッフ動線の面でも非常に助かっています。また、患者さんからも、「思っていたより圧迫感が少ない」、 「以前受けたMRIよりコンパクトで安心した」といった声をいただくことがあります。

サポート体制と今後の展望

■運用の安定性と充実したサポート体制

― 導入後のシステム運用やサポートはいかがですか?

林院長:トラブル発生時のサポートは非常に迅速で、遠隔アラートによる対応も含め、安心して運用できています。
渡邊技師長:キヤノンの装置は初めて使用しましたが、稼働開始前には実地研修などを通して実際に操作する機会があり、スムーズに運用を開始することができました。 また、システム設計も評価している点の一つです。以前使用していた他社のMRI装置では、アプリケーションのフリーズや処理系のトラブルを経験したことがありました。 本装置では検査、画像処理、画像転送などの各システムが独立しており、必要な部分のみを個別にリセットできる構造になっています。 そのため、装置全体を再起動する必要がない点は、検査数が多い当院にとって大きな安心感につながっています。

■今後の展望:技術の進化を「人へのやさしさ」へ還元する

林院長:今後は、夜間や日曜日の脳ドック対応など、働く世代のニーズにもさらに応えていきたいと考えています。
渡邊技師長:将来、撮像時間が5分で終了する時代が来たとしても、私たちは単純に検査件数を増やすことだけを目的にはしたくありません。 技術の進歩によって生まれた時間を、患者さんの不安を和らげ、安心して検査を受けていただくための時間として還元していくことが大切だと考えています。 MRI検査は、多くの患者さんにとって「怖い」「不安」と感じる検査の一つです。だからこそ、検査時間が短縮された分を、患者さんへの声掛けや説明など、 気持ちに寄り添うための時間として活用し、一人ひとりに合わせた検査体験を提供していきたいと思っています。 「世界一『寄り添う』MRI検査」を目指し、当院は単に検査を行う場所ではなく、AIという最新技術と医療スタッフの温かさを融合させ、 患者さんに安心と信頼を届ける医療を提供し続けていきます。「ここで検査を受けてよかった」と感じていただけるよう、患者さん一人ひとりに寄り添った検査環境を整え、 地域に根差した、安心して相談できるクリニックであり続けたいと思っています。

  • *本記事のAI技術については設計の段階で用いたものであり、本システムが自己学習することはありません。
  •  記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。掲載内容は予告なく変更する場合があります。掲載内容はオプション構成品を含みます。

一般的名称 超電導磁石式全身用MR装置
販売名 MR装置 Vantage Elan MRT-2020
認証番号 225ADBZX00170000
類型 Vantage Gracian
製造販売元 キヤノン株式会社