Vantage Gracian
導入事例
脳神経外科病院が求める救急検査に
対応できる1.5テスラMRI装置
髙橋 明
医療法人美脳 札幌美しが丘脳神経外科病院 理事長
武内 周平
医療法人美脳 札幌美しが丘脳神経外科病院 放射線科医
土門 伸也
医療法人美脳 札幌美しが丘脳神経外科病院 放射線技師
Vantage Gracian
導入事例
髙橋 明
医療法人美脳 札幌美しが丘脳神経外科病院 理事長
武内 周平
医療法人美脳 札幌美しが丘脳神経外科病院 放射線科医
土門 伸也
医療法人美脳 札幌美しが丘脳神経外科病院 放射線技師
札幌美しが丘脳神経外科病院は『医療を通じて地域に安心と安全を提供する』という理念のもと、2020年7月に北海道札幌市清田区に開業しました。
脳神経外科領域、特に脳卒中の診断・治療に力を入れ、一次脳卒中センターとして24時間365日救急患者を受け入れる体制を整えています。
加えて、幅広い診療科で地域医療に貢献することを目指し、病院機能の充実に積極的に取り組んでいます。
その一環として、画質とスピードを重視し、開業時にキヤノンメディカルシステムズ社製3テスラMRI装置「Vantage Galan 3T / Focus Edition(以下、Galan 3T)」を導入しました。
検査数の増加に伴い、円滑な救急検査体制の維持や患者待ち時間の延長を防ぐため、2024年12月には同社製1.5テスラMRI装置「Vantage Gracian(以下、Gracian)」を増設しました。
今回はソフトウェアバージョン8.1を搭載したGracianが当院で果たしている役割とその使用感について紹介します。
1.5テスラの選定では、3テスラと差を感じさせない画質とともに、検査時間枠に収めることを重視し、画質とスピードの両立が不可欠でした。
さらに、開業時に増設を想定しておらず、スタッフの動線を確保し、業務の円滑化と安全性を考慮した場所の確保にも苦慮しました。
Gracianは高画質や短時間撮像撮像を実現する技術に加え、設置性にも優れていました。(Fig.1)。
一般的なレイアウトとは異なり、キャビネット類を収める機械室を必要とせずに設置できるため、検査室のスペースを最大限に活用でき、当院のニーズに合致していました。 操作室にキャビネットがあるが、動作音なども気にならず、救急検査時の医師との会話にも支障はないです。
原理的にMRAの描出能は3テスラが優れるため、当院では動脈瘤が疑われる血管性病変の精査や血管内治療に向けた術前評価を3テスラで実施しています。 一方、1.5テスラは術後フォローや救急患者の検査を実施しています。 これらの検査は3テスラでも実施するため、画質に差が生じれば検査の”質”自体に影響を及ぼす可能性があります。
Gracianには、デノイズのディープラーニング再構成技術である「Advanced intelligent Clear-IQ Engine (AiCE)」が搭載され、3テスラとの画質の差を補えています(Fig.2)。
また、AiCEによって、過去に使用した1.5テスラのようにSNRを気にしながらパラメータを調整するという必要が無くなり、「より短時間にする」「より高分解能にする」設定が容易になりました。
具体的には、頭部MRAや下垂体、微小梗塞を対象としたDWIなど、検査対象が小さい組織において面内分解能の向上やスライス厚を薄くする際に特に有効だと考えています。
救急検査では、より短時間の撮像が求められる一方で、臨床有用性を維持した画質が重要です。AiCEはさまざまな高速撮像技術と併用でき、画質を上げても時間延長を抑えることができます。
特に「Fast3Dモード」との併用では、3D検査の撮像時間を短縮でき、広範囲かつ高分解能ながら20%程度の時間短縮を実現しています(Fig.4)。
低減率は%表記による直観的操作が可能な点も重宝しています。
さらに、救急検査では医師の指示のもと、状況に応じて時間短縮や高分解能化など撮像条件変更が求められることも多く、若手技師には調整が難しい場合もあります。
AiCEは後処理でデノイズ強度を変更できるため、検査後にニーズに応じた画像を提供できるメリットもあります。
血流評価も重要です。末梢血管の狭窄を判断する際、MRAに加えてPerfusionによる血流評価が有用で、治療方針の判断に確信を持つことができます。
Gracianは非造影Perfusion「pCASL」を使用でき、非造影でも十分な情報が得られ、従来法と比べて年齢差による血流差にも安定して対応できます。
また、慢性期脳梗塞のようにMRAで血管信号が低下しているが血流はある場合や、超急性期脳梗塞のようにDWIで高信号ではないが血流低下している場合に、
カラーマップにより説明が可能で、理解を得やすいという利点もあります(Fig.5)。
アーチファクトの少ない画像を安定的に撮ることは、多くの検査を実施する上でも、診断する上でも重要です。また、個人の主観による撮り直し判断が減ることで、検査スループットの向上にも寄与します。
DWIにおける歪み低減機能「RDC DWI」は、歪みの大きな脳底部などの症例に優れた効果を発揮します。
さらに、脳幹梗塞や症例の広がり診断のために、AX断面に加えて歪みの少ないCO断面を追加できるため、診断の確信度を高めることができます。
また、RDC DWIは撮像時間の延長がほぼないという点でも重宝しています(Fig.6)。
体動アーチファクトは救急患者のように意思疎通が困難な場合や生理的な動きが原因の場合に対応が難しく、検査で苦慮することが多くあります。
Gracianにはラジアルサンプリング法「JET」に加えて、「IMC」が搭載されています。IMCはカーティシアン法の体動補正機能で、
ラジアルサンプリング法に比べコントラスト変化が少なく、撮像時間の延長も抑えられるため、検査に組み込みやすいです(Fig.7)。
キヤノンMRIは頸部や椎体など画質差が出やすい部位でも画質が綺麗で、IMCの効果と相まって、より高画質な画像を得ることができます。
画質面ではAiCEにより、撮像時間や分解能のいずれかを犠牲にする必要がなくなり、検査数が多い中でも画質にこだわることができています。
実際に1.5テスラで3テスラとほぼ同等の画像が得られ、臨床上、診断に苦慮することもありません。
例えば、1.5テスラで動脈瘤が見つかった際に、3テスラの再検査で結果に差が出たことはなく、1.5テスラでもMRAで十分な画質が得られています。
当院では3テスラを導入しているため、このような運用を行っていますが、スクリーニング・精査の両面で1.5テスラでの運用に問題はないと考えています。
救急検査においても、DWI、MRA、非造影Perfusionが重要であり、1.5テスラと3テスラの間で診断に差が出ない運用が可能です。
また、操作性の面では、従来経験の差による画質調整の差を機能で補えるため、診断の安定化につながっています。
Vantage Gracianは、3テスラの購入や増設を検討している、1.5テスラで急性期検査に対応したい施設にも自信をもって推奨できます。
| 一般的名称 | 超電導磁石式全身用MR装置 |
|---|---|
| 販売名 | MR装置 Vantage Elan MRT-2020 |
| 認証番号 | 225ADBZX00170000 |
| 類型 | Vantage Gracian |