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Vantage Gracian
精神科 
導入事例

高額医療機器の最大利活用へ
“宝の持ち腐れ”を防ぐVantage Gracianアップグレード

田中 基弘 技師 
医療法人栄仁会 宇治おうばく病院 放射線室 技師長

宇治おうばく病院

宇治おうばく病院の外観写真

京都府宇治市に位置する宇治おうばく病院(513床)は、「地域で期待され、信頼され、住民の皆さまの幸せ作りに貢献できる病院をめざす」を理念に掲げ、精神科医療を担う基幹病院として、24時間対応の精神科救急医療体制を備え、救急から社会復帰までを見据えた包括的な医療を提供しています。

2016年:1.5テスラMRI装置「Vantage Elan」を導入
2024年:1.5テスラDLR-MRI装置「Vantage Gracian」へアップグレード(わずか数日間でアップグレードが完了)

Vantage Gracianへアップグレードした経緯

当院は2016年6月にVantage Elan(以下、Elan)を導入し、稼働8年目にVantage Gracian(以下、Gracian)へのアップグレードパッケージの存在を知り、検討を開始しました。 当院がアップグレードを前向きに検討した理由は大きく2つあります。
1つ目は、Gracianがディープラーニングを用いて設計したノイズ除去再構成技術Advanced intelligent Clear-IQ Engine(以下、AiCE)に対応しており、当院が求める短時間撮像と高画質を両立できると期待したためです。実際にGracianのAiCE併用画像を初めて見た時、当院の条件よりも短時間でありながら、1.5Tとは思えないほど高いSNRが得られており、Gracianは”従来の1.5Tを大きく凌駕するMRIである”という印象を受けました。特に精神科を標榜する当院では、長時間の検査に耐えられない患者さんが多く、検査中に動いてしまい検査中止となるケースも少なくありません。検査時間と画質がトレードオフの関係にあるMRIにおいて、短時間化に伴う画質劣化を抑えられるAiCEは、検査適応拡大に繋がり、当院のニーズに合致すると考えました。
2つ目は、装置更新に比べてイニシャルコストとダウンタイムを大幅に低減でき、経営面で大きなメリットがあるためです。既存のマグネットやコイルなどのハードウェアを流用できるため、イニシャルコストは新品への更新と比べて格段に抑えられます。さらに、更新の場合は工事や据付を含めて1.5ヶ月以上のダウンタイムを要しますが、Gracianアップグレードではわずか数日間で完了できる点が非常に嬉しい特長です。ダウンタイムを最小限に抑えられれば、院内の検査ニーズをとりこぼすことなく、紹介検査の流出も防げるため、検査収益の維持が可能となります。
このように、低コストかつ短期間で新品と同じソフトウェアバージョンやAiCEをはじめとした新機能を搭載できることから、GracianアップグレードはElan導入施設ならではの特権であると感じました。上記の理由により、当院は2024年11月にGracianアップグレードを実施しました。

従来と比較した当院のGracianの短時間条件の図
図1 従来と比較した当院のGracianの短時間条件

選択肢が広がれば検査適応も広がる

Gracian アップグレードで最も恩恵を感じているのは、患者さんに応じた検査の選択肢が広がったことです。 当院では常に検査中に患者さんが動いてしまうリスクを念頭に置く必要がある一方で、診断に有用な画質の確保も欠かせません。 アップグレード前は、検査中に患者さんが動き始めると、短時間条件への切り替えやシーケンスの数の削減、場合によっては検査を断念するケースがありました。 アップグレード後は、AiCE を用いて画質を維持したまま短時間化が可能となり、頭部ルーチン検査の全体時間を約40%短縮でき、最後まで撮像を完了できるケースが増えたと実感しています。 さらに、事前に体動が予想される患者さんに対しては、短時間条件を選択しています。
従来装置では画質劣化が大きく短時間化にも限界がありましたが、Gracian ではAiCE に加え、Fast 3D モードやExsper などの高速撮像技術、シングルショット(FASE)といった選択肢が拡充され、 さらなる短時間化が可能になりました(図1)。その結果、脊椎を中心とした整形領域の紹介検査においても短時間・高画質の両立が実現できています(図2C)。 患者さんの状態に左右されず、診断に耐えうる画質を安定して提供できるようになったことで、従来以上に確実に検査ニーズに応えられるようになりました。

豊富な検査アプローチで付加価値を

短時間・高画質の両立に加え、検査アプローチが豊富であることもGracianの特長のひとつです。特に有用性を感じているのがRDC DWIです(図2A)。 RDC DWIは、磁化率の影響によるDWIの歪みを低減できるため、空気が多く歪みが生じやすい脳幹部をより正確に評価しやすくなりました。 さらに、体動補正技術(IMC)やシングルショット(FASE)を応用した体動低減(図2B)も役立っています。 レカネマブ治療のフォローアップに向けては、第一選択であるT2*WIに加え、AiCEを併用した磁化率強調画像(FSBB)の短時間撮像にも対応できるよう準備を進めています(図2D)。 このように、Gracianは正確な診断を支援する多彩な検査アプローチを備えており、ルーチン検査に付加価値をもたらすことができるようになったと考えています。

Vantage Gracian=最大限利活用できるMRI

高額医療機器を導入する上で、私たち放射線室が常に意識しているのは、検査ニーズの取りこぼしをなくし、機器を最大限に活用してもらうことです。 これまで当院のMRI 検査では、長時間の検査に耐えられず検査を中断するケースや、短時間化により画質を確保できないケース、アーチファクトが診断に影響するケースなどがありました。 検査ニーズに十分応えられなければ検査適応外となる患者さんが増え、結果として稼働率の低下を招きかねません。 一方で、MRI の導入・維持にはイニシャルコストやランニングコストが伴うため、一定の稼働率を維持し、しっかりと利活用することが病院経営上重要です。
当院ではGracian アップグレードによって検査適応やアプローチが広がり、従来以上にMRI を有効活用できるようになったと実感しています。 高額な医療機器を導入しながら十分に使われない、いわゆる“宝の持ち腐れ”だけは避けたいと考えていたため、その意味でもGracian は当院のニーズにマッチした装置だと評価しています。

宇治おうばく病院の豊富な検査アプローチ
図2 当院のGracianの豊富な検査アプローチ
(A)RDC DWI
(B)シングルショット(FASE)
(C)脊椎検査の短時間・高画質
(D)磁化率強調画像(FSBB)

Vantage Gracianを検討しているご施設へ

宇治おうばく病院様の集合写真

GracianはMRIの中でも検査の選択肢やアプローチが幅広く、コストパフォーマンスの高い装置だと考えています。 もちろん、更新に際して一定のコストは避けられません。しかし、MRIの稼働率向上や利活用の観点で捉えれば、Gracianはその投資を上回る経営的メリットをもたらしてくれると実感しています。
また、イニシャルコストやダウンタイムを最小限に抑えられるGracianアップグレードは、Elan稼働施設だけが享受できる特権だと思います。 対象となる施設には、このアップグレードを是非前向きに検討していただきたいと考えています。

  • *本記事のAI技術については設計の段階で用いたものであり、本システムが自己学習することはありません。
  •  記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。掲載内容は予告なく変更する場合があります。掲載内容はオプション構成品を含みます。

一般的名称 超電導磁石式全身用MR装置
販売名 MR装置 Vantage Elan MRT-2020
認証番号 225ADBZX00170000
類型 Vantage Gracian