Alphenix user’s voice Vol.3
Hi-Def Detectorと
320列 Area Detector CTが導く
IVRの新たな可能性
田中 利洋 先生 奈良県立医科大学
Alphenix user’s voice Vol.3
田中 利洋 先生 奈良県立医科大学
腫瘍に対する血管塞栓術をはじめ、AVMへのCoil Embolizationや疼痛に対するTAMEまでIVRの多様な可能性に挑戦し続ける田中利洋先生。
「和を以て貴しとなす」をモットーに奈良県立医科大学 放射線診断・IVR学講座教授を務める田中先生に手技には欠かすことの出来ないIVR機器に求める性能や機能を伺いました。
奈良医大では当時、血管造影室からCT室へ患者をストレッチャーに載せて移動させることが日常臨床として行われていました。肝臓がんの患者の場合には血管造影中に肝臓がんの個数や血流動態を診断する目的がありました。血管造影室でカテーテルを上腸間膜動脈と肝動脈に入れて上腸間膜動脈から門脈造影を撮って、部屋を移動してCTで門脈の血流状態を調べ、肝動脈からもう一度造影CTを撮って動脈支配をみる。それでTACEの術中に診断をして、診断が終わったらもう一度、血管造影室に戻ってTACEを行うというルーチンでした。
手技の合間に複数回に亘って部屋を移動することは患者にも負担になりますし、血管造影室から患者が運ばれてくるとCT室の検査を止めなければならない。CT検査の予約が埋まっていて患者が待っているなかで、CT室の運用も苦労していたと思います。Anigo CTはAngio装置とCT装置がひとつの部屋に設置されて、一つの寝台で使用できるこのシステムを、実際に触ってみて非常に便利だなと感じました。
Alphenixにはワークフローが向上するさまざまな新しい機能が搭載されており、その一つにAuto Registrationがあります。これはCT撮影により得られた3次元画像を血管造影画像に重ね合わせる機能です。Angio装置とCT装置が寝台の位置情報を共有しているため、重ね合わせに際して画像の位置合わせは不要です。CTの3次元情報をロードマップとして用いることでワイヤーなどのデバイスを操作する際の指標になります。また、Auto Tableも便利な機能で、過去の撮影画像をリストから選択すると寝台のポジションやCアームの位置、角度などを同じ条件にセットしてくれるため、ワーキングアングルを繰り返し変更するようなシチュエーションでは非常に重宝しており、今や日常診療で欠かせない機能となっています。
そのほか、SPOT Fluoroという被ばく低減の機能も有用ですね。視野全体にX線を照射すれば患者の被ばく量はもちろん、散乱線によって我々医療従事者の被ばくも増えます。SPOT FluoroではX線の照射範囲を関心領域だけに絞りつつ、周辺の情報を残しながら手技を進めることができるので、必要最小限の被ばくで安全に手技を進めることができます。
奈良県立医科大学
田中 利洋 先生
IVRを用いた悪性腫瘍(がん)に対する低侵襲治療を専門とする。企業との共同研究による機器やデバイスの開発にも積極的で、2020年度からは日本IVR学会理事に就任。
略歴
1996年 奈良県立医科大学 臨床研修医 卒業
1998年 愛知県がんセンター レジデント
2000年 奈良県立医科大学 放射線医学 助教
2009年 ドイツ、アーヘン大学 応用医療工学部 客員研究員
2010年 オランダ、マーストリヒト大学 放射線科 CIRSE Fellow
2015年 奈良県立医科大学放射線科 准教授
2022年 奈良県立医科大学 放射線診断・IVR学講座 教授